ナラネコ日記

私ナラネコが訪ねた場所のことや日々の雑感、好きな本のこと、そして猫のことを書き綴っていきます。

私の読書 ~ 最近読んだ本 2025年 其の十五

水野敬也『夢をかなえるゾウ』

 このブログでは、「読書」「読書~ミステリー」のカテゴリーで、折に触れて最近読んだ本の感想などを書いています。今まで1回分で2作品の感想を書いていたのですが、字数が多くなりがちなこともあり、今回から1作品ずつにします。

 今回読んだのは、水野敦也の『夢をかなえるゾウ』。

 以前本屋で平積みにされているのをよく見かけた本だ。特徴的な表紙と題名から、印象に残っていて、ベストセラーになった本だということは知っていたが、何となく合わない気がして読んでいなかった。この前ブックオフの100円コーナーで文庫を見かけたので、買ってみた。

 読みかけて、これ、小説?という感じがあったが、読み物として読んだ。後で調べると自己啓発小説という新しいジャンルとのこと。

 平凡な会社員である「僕」のところに、象の形をしたガネーシャという神様が姿を現す。ガネーシャは、自分は歴史上の偉人を始めとする様々な人物を成功に導いてきたと言い、「僕」を成功させてやるが、そのためには自分の出す課題を実行しなければならないと言う。成功を欲していた「僕」はガネーシャの提案を受け入れることになる。

 ガネーシャは関西弁でしゃべる神様で、「僕」の家に住みつき、でたらめなことを言ったり、「僕」の金でパチンコに行ったりするなど、行動もいいかげんで、「僕」はしょっちゅうガネーシャと言い争ったり、殴り合いのけんかをしたりする。一方でガネーシャの課題は納得のできるもので、「僕」はガネーシャにうさん臭さを感じながらも、ガネーシャの課題をひとつひとつ実行していく。

 こんな話で、私はエンターデイメント系の小説として、そこそこおもしろく読めた。ガネーシャの出す課題自体はごく平凡なもので、たとえば、これを自己啓発のハウツー本として、「人生を成功に導く20の方法」とかいう題名で、「第1章、靴を磨くこと」などという形式で出版したら、どこにでもある、おもしろみのない本になるだろう。小説の形式で自己啓発系の内容を表現したというのが作者の発想の勝利ということかなと思った。

 ただ、小説の中盤くらいまでは、ガネーシャのぶっ飛んだ言動と主人公のやり取りがおもしろかったのだが、後半、特に「最後の課題」の後からパワーダウンして、エンターテイメント性より自己啓発の部分が強くなったのはいまいちだった。もちろんこれは作者が意図的にそうしているのだろう。

 続編が何冊か出ているが、そちらはもういいかなという感じだった。

水野敬也『夢をかなえるゾウ』