ナラネコ日記

私ナラネコが訪ねた場所のことや日々の雑感、好きな本のこと、そして猫のことを書き綴っていきます。

和束から信楽へ ~ 其の二・信楽篇

信楽陶芸の森

 一昨日の続きです。

 信楽を訪れた5月14日は、31年前に信楽高原鉄道で42人が死亡した大事故が起きた日だった。ブログをアップした後の夜、ネットで法要が営まれていることを知ってそのことに気づいた。ちょっと遠出しようと思ったのだが、信楽を行先に選んだのは偶然だった。

 和束を出て信楽の街に入ったら、12時半頃になっていた。前に来た時は街をぶらついたが、少し時間が遅くなったので陶芸の森に向かった。ここはたいへんいい場所で、何回も来たくなる。休日は人が多いのが難点なのだが、この日は雨の後の少し肌寒い日ということもあってか、人が少なかった。

 いちばん上の駐車場にバイクを置き、星の広場と呼ばれる見晴らしのいい場所に登った。ここは屋外展示場として、色々な作品が展示してある。人がいなかったので、のんびりと観賞することができた。下の作品は「炎の人」という題名が付けられていた。向こうの山々を背景にひときわ目立っていた。

炎の人

 その時の気持ちによって気になる作品が違ってくるのもおもしろい。前に来た時にあまり目にとまらなかった作品が妙に印象に残ったりもする。下の作品の題名は「幽霊」という。

幽霊

 ところで、芝生の上のいたるところに黒い糞、奈良に住んでいるとお馴染みのあれが落ちているのに気づいた。近くに山があるから、夜になると鹿がやってきて、うろついているのだろう。オブジェのまわりを月あかりに照らされながら歩いている鹿の姿を想像すると、なかなか幻想的でいい。

夜になると鹿たちが・・・

 星の広場を出て、下の産業展示館の周りも散策した。信楽は少し気温が低いのか、私の住んでいるあたりではほとんど散っているツツジがまだ結構残っている。そういえば去年の秋来た時、10月末なのに紅葉が始まっていた。冬の寒さがかなり厳しいのだろう。それから赤い花が咲きかけていた。花の下にプレートがあり、「セイヨウシャクナゲ」と書いてあった。

セイヨウシャクナゲ

 下の芝生広場にも、オブジェが数多く展示してある。この日は人が少なかったため、ゆっくりと見ながら散策することができた。都会の人込みはあまり気にならないが、こういう場所はゆったりした気分で歩くのがいい。

芝生広場にもオブジェが展示

 芝生広場の端には登り窯があり、これも自由に見ることができた。現役で現在も使われている窯である。

登り窯

紫香楽宮跡へ

 陶芸の森を出た後、少し足を延ばして紫香楽宮跡に寄ってきた。紫香楽宮は聖武天皇が離宮を造り、都を移すことまでも考えていた場所で、奈良とも縁が深い。現在は当時の建物は残っていないが、遺構や遺物は見つかっているという。

 この日訪れたのは内裏野地区で、紫香楽宮造営の一環として建てられた寺院の跡とされている場所である。遺構には「講堂阯」「僧房阯」といった石柱が立てられ、解説が書かれたプレートも随所に置かれている。

 金堂のあった場所には社が立てられている。これはもちろん後世のものだが、両側に並んだ狛犬が陶器でできているのは土地柄だろうか。

紫香楽宮

 紫香楽宮跡を出て帰路に就いた。もと来た道を戻る形で和束、加茂を抜けて奈良に戻ると少し暖かく感じた。