水曜日の朝
3月までは、水曜日の朝は水木金と3日間仕事が続く初日だったので、週初めの感じがあったが、4月から木曜が休みになり、金曜1日仕事に出た後が土日と言う日程になったので、週末感がある。
いつものように朝の散歩をする。ここのところ激しい雨風がないので、桜が散らずに咲いている。田畑の中の道を歩くと、空き地の草むらの中に、冬場に時々見かけた猫が座っていた。この場所が好きなのか。
朝、仕事に向かうと小学生の姿が目に付く。小学校は今日が始業式なのだろう。校門前の桜もなんとか散らずに満開を保っている。好天が続きそうなので、なんとかこのまま入学式を迎えられそうだ。
近鉄電車の中で読んだ本3冊
今日は久しぶりに読書の話題。
3月末の土曜から月曜まで、近鉄電車のお得なきっぷを使って日帰りで三重や吉野の方へ遠出をしたが、その時読んだ本の感想を簡単に。
私は電車に長い時間乗る時は、とりあえず本が手元にないと落ち着かない。ということで、前日に本屋で2冊本を買った。1冊目は『苦役列車』(西村賢太)、2冊目は『天国までの百マイル』(浅田次郎)。西村賢太は少し前に亡くなった作家だが、読んだことがなかったので、この機会に読んでみようかとふと思った。浅田次郎は短編集を3冊ほど読んだことがあったので、一度長編をということで、目に付いたこの本を買った。
最初に読んだのが『苦役列車』。私小説で、中卒で“日雇い仕事で生計を立て、怠惰な毎日を送っている主人公の北町貫多は、作者そのものである。読んだ感想は、読みやすい文章なのだが、世の評価から思っていたほど、ぐっと迫ってくるものがなかった。ただ、芥川賞受賞作というのは、その作家の到達点ではないので、もう一作読んでみてもいいかという気にはなった。
1日目の途中で『苦役列車』を読み終えてしまったので、もう1冊欲しいなと思い、四日市からの帰りに津で下車して、駅ビルにあった大きな本屋で買ったのが、『本所しぐれ町物語』(藤沢周平)。藤沢周平は結構読んでいて外れはないので、未読の本を1冊と思い買った。
『天国への百マイル』は、不況のために会社を潰し妻子とも別れた中年男が、心臓病の母親の命を救うために、100マイル先の名医のいる病院を目指して母をワゴン車に乗せて走る話。読み始めて感じたのが、やはり浅田次郎は上手い。文章もいいし、登場人物の描き分け、ストーリーの展開の巧みさ、ぐんぐん引き込まれていく感じがする。浅田次郎は「泣かせ屋」の異名を持つだけあって、小説もラストに近づくにつれ、涙を誘う場面が増えてくる。個人的には、もう少し抑えた書き方が好みなのだが、最後まで一気に読ませるのはさすがだと思った。
『本所しぐれ町物語』は、江戸の架空の町を舞台にした連作短編。市井の人々の生活の中に起きる事件や人情を描いたもの。藤沢周平の作品の中では、いまいちかなというのが印象。もちろんこれは期待値が高いことからの感想だ。
3日間で3冊は読み終え、予備に持って行った松本清張の短編集も読み直した。やはり電車内の読書はいい。