ナラネコ日記

私ナラネコが訪ねた場所のことや日々の雑感、好きな本のこと、そして猫のことを書き綴っていきます。

子供の頃の読書 ~ 夢を掘りあてた人

シュリーマンという人物

 今日は読書の話題。子供の頃読んだ『夢を掘り当てた人』について書いてみる。

 『夢を堀り当てた人』はヴィーゼという人が記したハインリヒ・シュリーマンの伝記である。私が読んだのは、小学校4年生くらいだったと思う。

 シュリーマンは19世紀のドイツ人で、ギリシアの大詩人ホメロスの作った叙事詩「イーリアス」に登場するトロイアを発掘したことで知られている。古代ギリシア文明の研究にたいへん大きな功績を残した人物だが、彼は考古学の専門家でなかったため、その発掘方法などにずさんな点が多く、歴史に対する考察も誤りが見られる。また自伝に書かれていることも誇張したエピソードがあると言われている。

 ただ、私が小学生時代にこの本を読んだ時には、そういったことは知る由もないので、夢中になって読んだ。したがって、このブログでも、その時の気持ちを思い出しながら書いてみる。

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『夢を堀りあてた人』

第一部と第二部

 この伝記は、大きく第一部と第二部に分かれている。第一部は少年時代のシュリーマンが、トロイア戦役の本を読んでトロイア発掘の夢を抱きながらも、貧困から小売店の見習い店員となるが、並外れた才能と勤勉さ、そして強運によって大商人へと上りつめるまでの物語である。そして第二部は、財力を手に入れたシュリーマンが、少年時代からの夢をかなえるべくギリシアに渡り、トロイアの発掘に成功する物語である。

 第一部と第二部はほぼ同じ長さで、第二部の方が少し長い。そして題名から言っても、第一部は第二部の前置きであるはずだが、私は圧倒的に第一部がおもしろかった。このブログを書く前に、さっと読んでみたのだが、第一部のエピソードは頭にしっかり残っている。船室給仕になったシュリーマン少年の船が難破するが、それが新しい運命を切り開くことにつながるといった幸運。驚くべき速度で多国語を習得し、周囲に能力を認めさせて地位を上げていくという話の展開。アメリカに渡りピストルを持った金堀りの荒くれ者たちを相手に取引を成功させるという大胆さ。等々、すべてのエピソードが生き生きと描かれ、読んでいて飽きさせない。

 私自身は、シュリーマンのような立身出世を望み、どんなことをしても目的を達成しようとするタイプとはほど遠い人間だ。前に書いた『トムは真夜中の庭で』が同じような年齢の子どもが主人公で感情移入して読んだとすると、この伝記は、逆に自分とはかけ離れた虚構の世界の物語を楽しむといった気持ちで読んでいたように思う。

 思い返すと、私は今まで伝記と言うものはほとんど読んでいない。おそらく読んだのは、この『夢を堀りあてた人』一冊である。ただ、その一冊がたいへんおもしろい本であったというわけだ。

朝の写真

 写真が少なくて寂しいので、読書の話とは関係ないが、今朝の散歩中の写真でも。畑の中をうろついていた猫と、池の中にいたウシガエル。

畑の横をうろついていた猫

池の中のカエル