ナラネコ日記

私ナラネコが訪ねた場所のことや日々の雑感、好きな本のこと、そして猫のことを書き綴っていきます。

子供の頃の読書 ~ ツバメ号シリーズ 其の二

神宮輝夫さん死去

 今朝も雨模様。早朝は小降りだったので、傘を差して少し散策。セミも鳴かず猫も姿を見せず、静かなものである。犬を連れて散歩している方はおられた。

 朝食を食べて新聞を見ると、コロナと大雨の記事に交じって、神宮輝夫さん死去の記事が載っていた。紙面ではあまり大きな扱いではなかったが、神宮さんといえば私が子供の頃愛読していたアーサー・ランサムのツバメ号シリーズの翻訳者として知られている。ツバメ号シリーズの思い出については八月六日のブログに一回目を書いたが、今日はその続きの二回目を書こうと思う。(シリーズを読んでいない人には全く分からない内容になりますがご容赦を。)

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雨に濡れた公園の百日紅の花

全シリーズを通して

 このシリーズは全12巻というたいへん長いシリーズなのだが、ランサムは最初からここまでの長さになるとは思っていなかったのではないか。ただ第1巻の「ツバメ号とアマゾン号」のラストは、子供たちが来年の再開を約束するという、次回に続くことを予感させるものとなっており、書き続けるつもりはあったのだろう。そして第4巻の「長い冬休み」でDきょうだいが加わることによって、登場する子供たちのキャラクターにも広がりができ、息の長いシリーズとなる土台ができたのではないかと勝手に想像する。

物語の終わり

 第1巻で、ナンシーとペギーのおじであるフリント船長が子供たちの世界に入っていくのだが、第12巻の「シロクマ号となぞの鳥」の終盤で、子供たちがトラブルに巻き込まれそうになった時、大人の感覚で、もう二度と航海に子供たちを連れてくるまいと、子供たちの母親の怒っている顔まで思い浮かべて彼が思う描写があり、子供時代に読んだ時に何か違和感を感じた記憶がある。物語の世界の中から現実の世界に引き戻される感覚。「シロクマ号」のラストには、何か物語の終わりを感じさせる一抹の寂しさがある。

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シロクマ号となぞの鳥

好きな巻

 シリーズの中で、やはり何回も繰り返し読んだ好きな巻と、そうでもない巻は存在する。登場人物別に分けると、ウォーカー家の4人、ナンシー・ペギーの姉妹、Dきょうだいがすべて登場するのが3巻、ウォーカー家の4人とナンシー・ペギーの姉妹が5巻、ナンシー・ペギーの姉妹とDきょうだいが1巻、ウォーカー家の4人が1巻、Dきょうだい(とオオバンクラブのメンバー)が2巻である。

 まったく個人的な感想であるが、Dきょうだいとオオバンクラブのメンバーだけの2巻は他の巻に比べておもしろさを感じなかった。一度読んで、再読はしていないと思う。登場人物のトム・ダッジョンたちのキャラクターに少しなじめなかったのかもしれない。他の巻は、子供時代にどれも繰り返し読んだ。ストーリーは分かっているが、その時の気分で手に取ってみるのである。

 一般的に人気のある巻ではないかもしれないが、結構好きだったのが11巻目の「スカラブ号の夏休み」である。これはDきょうだいが中心となる、ちょっと変わった話なのだが、ナンシーたちの大おばさんが登場して思わぬ展開になったり、ユーモアが感じられて楽しく読めた。

 書いているうちにかなりの字数になってきたので、今日はこのくらいで。ツバメ号シリーズの話題は二回で終わる予定だったが、もう少し続けて書くつもりだ。

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スカラブ号の夏休み 何回も読んで擦り切れている