松阪へ
昨日の続きです。
伊勢神宮参拝を終えたあたりから雨が降り出し、傘を買って五十鈴川駅まで歩いた。スマホで確認すると、ちょうど伊勢、松阪あたりに雨雲がある様子。天気の事はどうしようもない。強い降りでもないので、松阪に寄って行こうと電車に乗る。五十鈴川は、近鉄電車の名古屋方面行きの始発になる。奈良県内ではあまり見かけない座席の形なので写真に撮った。
松阪は近鉄とJRがすぐ隣のホームに同居している。奈良県はこういった駅は、私の知っている範囲では吉野口くらいだが、三重県は多いのだろうか。
下車して松阪城めざして歩く。道の脇の時計台の下に本居宣長のオブジェがあった。とてもよくできているので、一瞬どきっとする。松阪といって連想するのは松阪牛か本居宣長かだ。
駅から20分くらい歩くと松坂城になる。かなり立派な城だ。小雨の中、城跡の中に歩いて行く。石垣はかなり高く、横に注意の看板はあるが、柵はしていない。石垣は落ちたら命を落とす高さだ。前に伊賀上野の城に行った時も、高石垣に柵はなかったので、三重県共通の仕様なのかなどと思った。まあ、今まで落ちた人はいないのだろう。
城跡に入ったところに、松阪市立歴史民俗資料館という施設があった。松阪にはかなり以前に来た記憶があるが、この施設は見学しなかったので入ってみた。入館料は150円とすこぶる安い。
施設は、予想以上に充実していた。1階は、松坂藩の歴史的な資料や松阪の商業についての展示だったが、数多い展示物が見やすくきれいに整理されており、写真撮影も可だった。
そして、2階がすべて映画監督の小津安二郎についての展示だった。私は小津安二郎が松阪に縁がある人だというのを知らなかった。年譜によると東京で生まれ、9歳から18歳まで松阪で過ごしたというから、十代の多感な時期の人格形成に松阪という土地が大きな影響を与えていたのだろう。
資料館を出て、城跡の石段をさらに上っていく。天守閣は残っていないが、かなり広い。松阪は江戸時代になって間もなく、紀州藩の藩領となったというが、なかなか立派な石垣が残っている。盛りは少し過ぎていたかもしれないが、城跡には梅がきれいに咲いていた。
城跡のすぐ前の通りが旧松坂藩の御城番武士の武家屋敷になっていた。そのうち一軒は公開されていたので、入ってきた。松阪は落ち着いた歴史の町という印象をさらに強くしたのだった。
まだ小雨が残る中、駅まで歩き帰路についた。