ナラネコ日記

私ナラネコが訪ねた場所のことや日々の雑感、好きな本のこと、そして猫のことを書き綴っていきます。

私の読書 ~ 最近読んだ本 2025年 其の十八

ナンシー関『ナンシー関の耳大全77』

 今日は読書の話題です。『ナンシー関の耳大全77』。

 消しゴム版画家でもある作者が週刊朝日に1993年から死去する2002年まで連載していた『小耳に挟もう』というコラム450本ほどから、武田砂鉄が77本を厳選したものだ。ブックオフで見かけて思わず買ってしまった。

 なぜ「思わず」かというと、家で週刊朝日をとっていたので、このコラムはリアルタイムで読んでいた。そして、それを朝日文庫から文庫本化した6冊も買って読んだ。したがって、今回の読むのは3回目ということになるが、ベスト版という形でまた読みたくなった。それだけ好きなコラムだったのだ。

 週刊誌の連載物のエッセイ系は、自分の好みで、Sランク(ものすごく好き),Aランク(好き)、Bランク(とりあえず読む)、Cランク(おもしろくないから読み飛ばす)くらいまである。例えば、村上春樹の週刊朝日のエッセイはBランクくらいで、いまいちだった。(ちなみに小説はよく読んでいました)。どのランクかは、連載が始まった初めの方でだいたい分かるもので、特にエッセイやコラムは文体や物事への切り口といったものが自分と相性がいいかどうかが感覚的に伝わる。ナンシー関のコラムは、テレビ批評なのだが、その観察の鋭さと独特の視点、文章の切れ味で、読んでいてとにかくおもしろかった。全く知らない人だったので、なぜか連載当初、ナンシーという女性系の名前なのだが、男性だと思い込んでいた記憶がある。

 どこがどのようにすばらしいかというのは、この本の編集者の武田砂鉄が、巻末で丁寧に解説してくれている。個人的なことを書くと、ナンシー関と私はほぼ同世代で、小さい頃から触れてきた時代の風や見てきたテレビ番組は同じで、同世代感というのはこの文章を読んでいてよく感じる。しかも彼女はテレビに映っているものだけを題材にしているから、私も同じものを見てきたはずなのに、書かれてみて初めてその視点に気づくのだった。消しゴム版画の絵を入れて1ページの短いコラムだったが、毎週新鮮で刺激的な読書体験をさせてもらった。

 今回は3回目とあって、読んだ記憶があるものばかりだったが、おもしろかった。改めて思ったのは、文章が上手い。ナンシー関が急逝した後、追悼文的なエッセイなんかで、彼女の文体を真似たのをいくつか見たが、全然本家と違っていた。彼女の文体は、あの鋭い切り口と一体化してこそ意味を持つということを再認識したのだった。

『ナンシー関の耳大全77』

おまけ画像

 下の写真は朝の散歩の時に見かけた猫。寒い季節になるとエアコンの室外機の上を根城にしています。

エアコン室外機の上の猫