ナラネコ日記

私ナラネコが訪ねた場所のことや日々の雑感、好きな本のこと、そして猫のことを書き綴っていきます。

最近読んだミステリー ~ 2025年 ④

東野圭吾『眠りの森』

 今日は読書の話題でミステリー編です。最近読んだ2冊の感想など。

 新規開拓のつもりで初めて読む作家のミステリーを買って、いまいち合わなかったので、安心して読めるミステリーと思ってブックオフで東野圭吾作品を買った。家にない長編をと思って手に取ったのが『眠りの森』。1989年に書かれているのでかなり初期の作品だ。加賀恭一郎シリーズは、昔読んだ『悪意』がとてもよかったので、期待して読み始めた。

 話はあるバレエ団の事務所に忍び込んだ男を驚いたダンサーの女が殺してしまうという事件から始まる。正当防衛かどうかが問われるが確証はなく、加賀も捜査班の一人として捜査に加わる。その中で、今度は本番直前の舞台稽古の最中、ダンスの顧問の男性が殺される。バレエ界の特殊な人間関係や閉鎖性もあり、捜査はなかなか前に進まず、その中で第3の殺人未遂事件が起こってしまう。加賀が捜査の中でバレエ団員の浅岡美緒に惹かれるという展開もあり、恋愛の要素も入れながら話は進行してゆく。

 さて、感想だが、読みやすい文体で、冒頭から話の中にすっと入って行けるのはさすがという感じがした。だが、初期の作品だからだろうか、読んでいて、登場人物の関係や話の展開がすっきりと頭に入りにくい。東野圭吾の小説は、かなり複雑なストーリーでも、読んでいくと話の構造がすっと頭に入ってくるのが特徴だが、ややもたついている感じがした。また、話の大きな要素となっている登場人物のバレエに対する情熱にも、共感しずらかった。話の最後の方になって新たな事実が明らかになって、加賀の推理で一気に謎が解けるのだが、謎解きの部分もやや無理がある感じがした。

 ネットでamazonのレビュー見ると☆4.2でかなり高評価だった。これは映像化された小説ということもあるのだろうか。個人的には☆2か3くらいの感じで、東野圭吾の作品としては、やや期待外れの部類だった。

東野圭吾『眠りの森』

今邑彩『人影花』

 2冊目は、今邑彩の『人影花』。今邑彩の作品は、この前短編集の『時鍾館の殺人』を初めて読んで、とてもよかったので2冊目をと思っていた。これも短編集で、短い作品が数多く収録されている。50代で亡くなった作家だが、亡くなった後、それまで短編集に収録されたことのない作品をまとめた文庫オリジナルとのことだった。したがって、作品の出来は、前に読んだ短編集と比べると、あとひと息といったものも含まれていたが、話の作り方や文体が相性のいい作家なので、面白く読むことができた。それでは、何作か選んで感想を。

「私に似た人」

 寝たきりの舅の介護に疲れた生活を送っている年配女性の家に、深夜、若い男から間違い電話がかかってくるが、女性は間違い電話であることを告げず、相手になる。男からの電話はひっきりなしにかかり、女性はその内容に恐怖を覚えるようになる。そして最後にという話。サスペンス風味の強いストーリー。今邑彩の作品には電話がよく登場するが、これも携帯電話が普及する少し前の作品だ。スマホの時代となり、今では深夜にかかる電話の怖さといった題材は使いにくくなったかもしれない。作者の持ち味がよく出ている話だと思った。

「疵」

 主人公の女性は、恋人がナイフで胸を刺し自殺したホテルの部屋に、三か月後にあえて予約して泊まる。女性は匿名の手紙で恋人は自殺ではなく殺害されており、その部屋に宿泊すれば犯人を教えるということを伝えられていた。この話もサスペンス風味が強い。ミステリーとしては、叙述トリック的な部分も含めて最後に大きなどんでん返しがあるが、これはやや無理があるかなという気がした。

「ペシミスト」

 ミステリーではなく、4ページのショートショート。これはこれでおもしろかった。

「鳥の巣」

 主人公の女性は、学生時代の友人から山中湖畔のリゾートマンションで、連休を仲間と過ごそうと誘われるが、現場に着いた時、持病の心臓発作が出て、同じマンションに住む女に助けられる。女が家族と住むという部屋に案内され、そこで話をするが、うまく話がかみ合わず、次第に女の態度が狂気じみたものに変わっていく。そして最後にという話。ホラーぽい結末が待っていて、結構好きな話だった。

今邑彩『人影花』