壷阪寺
昨日の続きです。
おふさ観音を出た後、壷阪寺の方に向かった。壷阪寺には4月の初めの桜の季節に出かけて、桜大仏を見たばかりだが、なぜ今足を運ぶかというと、ちょうど5月18日が年に2回の眼病封じ祈願会の日に当たっており、土曜日が仕事休みの日でもあり、参加してみようかと思ったからだった。
壷阪寺が眼病封じの寺だということは、奈良時代からだったようで、その霊験をもとにして、明治時代になって夫婦ものの人情話である、浄瑠璃「壺阪霊験記」が創作されている。
バイクで山道の坂を上り、寺に着くと、祈願会の日ということで、桜の季節ほどではないが人出は多いようだった。受付の門から境内に入ると、いつもいる猫たちがちょうど食事の最中だった。
壷阪寺には春先や秋に来たことはあるが、新緑の季節に訪れるのは初めてなので、やはり景観が違う。桜の季節に見た壺阪大仏も、白い花に包まれているのではなく、緑の若葉に覆われている。
桜の季節は、ちょうど大雛曼荼羅と題して本堂や講堂が雛人形でいっぱいになっている時期だった。それはそれで華やかでよかったが、今日は雛人形もすっかり片付けられて、ふだんの落ち着いた堂内の様子を見ることができた。これは本堂の御本尊である十一面千手観世音菩薩像。ちなみに壷阪寺は、基本堂内の写真撮影可だ。
次は講堂。春はこの仏様の回りにひな人形がぎっしりと隙間なく並んでいた。
これは灌頂堂(かんじょうどう)という建物で、建物自体は平成になってから再建されたものだが、中には貴重な像が安置されている。
新緑の青葉を背景ににそびえる三重塔。初めて建てられたのは奈良時代だ。現存する塔は室町時代のもので重要文化財に指定されている。
壷阪寺の創建は703年でたいへん歴史のある寺だが、境内の仏像は、近年になって建てられたものが多い。それだけにユニークな像もある。下の写真の像は「めがね供養観音」といい、古くなっためがねを供養するための仏様だ。
慈眼堂というお堂の中に、お釈迦様の生涯を絵に描いた額が飾ってあるのも、印象に残る。
吊り灯篭が下げられた本堂の濡れ縁の様子。去年の晩秋に来た時は紅葉に囲まれていたが、この日は新緑。
ひととおり境内を歩いているうちに、眼病封じ祈願会の行われる時間となったので、本堂に行った。やはり年配の方が多かった。年を重ねると体にいろいろと悪い所が出てくるのはみんな同じかと思ったのだった。