どこで降りようか
昨日の続き。
御坊駅に引き返し、紀伊田辺行に乗車する。2両編成だが無人駅が続くので、前の車両のいちばん前の扉から出て運転手に切符を見せて降りなければならない。完全にワンマンバスと同じ体制である。どこかの駅で、知らずに2両目に乗っていた女性が扉が開かないので、発車直前に血相を変えて1両目に走り込んできた。運転手も待ってあげていた。
さて、このあたりは全く土地鑑のない未知の場所である。とりあえず海の景色のきれいな場所で降りようと思い、目をつけたのが切目、岩代の2駅。マップで見ると海岸線に沿って路線が走っている。特に名所旧跡がある観光地でもないようなので決め手はないが切目で降りることにした。
切目駅は最近リニューアルされたようだ。駅舎の外観もそうだが、待合室には地元の祭りの写真が掲示され、かえるの置物や、自由に弾いてよいエレクトーンまで置いてあり、小ぎれいにまとまっている。
切目の海
駅の前は普通の田舎町だ。その向こうに国道が走り、その向こうに海岸線があるということぐらいはマップで確認してある。とりあえず国道を渡り海の方に向かう。ピンクの野草が勢いよく咲いていた。
橋を二つ渡ると松林があり、その向こうに海岸が広がっている。切目浜と呼ばれるあたりのようだ。きれいな砂浜だがみごとに人の姿がない。「今はもう秋、誰もいない海」という歌詞から始まる昭和の歌があるが、夏休みの土曜日と言うのに誰もいない。波がやや強く、遊泳には向かないのだろう。
海岸線を西の方に歩くことにする。海岸をずっと海沿いに歩いていければいいのだが、観光地の海岸のように遊歩道がついているわけではないので、そうはいかないのだった。したがって、国道を歩き、下りていける箇所があればその都度海岸に下りるということになる。初めての場所なので、しかたない。岩場の海岸が多いようだった。
歩いていると昼過ぎになった。国道沿いに食事ができる店があったので入って昼食をとる。刺身定食などもあり、迷ったが和歌山ラーメンにした。おいしかった。歩いて疲れた時はなぜかラーメンを食べたくなるのだった。店には地元の方と思われるお客さんが数組いた。
食堂の前の海岸の景色もきれいだった。この日は雨は降らなかったが、全体的に薄曇りといった空模様で青空の下の海の風景とはいかなかったのがやや残念。
ここから国道沿いに駅まで引き返す。駅に着いたら発車時間まで30分ほど時間がある。ここで気づいたのだが、乗車予定の御坊行が1時57分だがその前に1時38分の紀伊田辺行がある。この列車に乗って隣駅の岩代まで行って、そこから引き返せば岩代がどんな駅か一目見ておくことができる。というわけで、そうすることにした。
岩代駅は古い駅舎だった。ここも無人駅。駅の外に出て少し写真を撮って御坊駅に乗った。ここからの帰路はほぼ乗り換えの待ち時間なしになる。列車内で持ってきた文庫本を読破したのだった。本の話はまたどこかで。