今日は読書の話題
2週に1回くらいは読書の話題をということで、今日はミステリーの思い出の3回目。(前回は11月11日)下の写真は今朝の散歩の時に撮った写真。散歩コースにあるレトロな時計とハナミズキ。手前の木は葉がすべて落ちているが、向こうの木はまだ葉が残っている。
クリスティとの出会い
1,2回目で、小学四年生頃、ドイルの「シャーロックホームズの冒険」とポーの作品集を読んだのがミステリーとの出会いだったという話を書いたが、初めて本格的な長編のミステリーを読んだのが、アガサ・クリスティの「オリエント急行の殺人」だった。小学校六年生くらいだった。創元推理文庫で読んだのだが、家にたまたまあったのを読んだのか、自分で買ったのかといったあたりは覚えていない。
「オリエント急行の殺人」
この作品は、1974年に映画化されて評判となり、クリスティの代表作の最上位の一つに上げられるようになったが、私が読んだのはその前で、そこまで有名な作品ではなかった。映画化された際に、探偵エルキュール・ポアロを演じたのがアルバート・フィニーで、その他豪華なキャストが起用されている。
最初に読んだ時の印象はかなり強烈で、これはこの作品の一般的な感想とは異なると思うが、読んだ後作品の中のある場面のイメージが強く頭に残り、怖くて一晩中眠れなかったのを覚えている。ミステリーの感想なので具体的には書けないが、それは殺人事件が起こった夜の場面で、クリスティの描写力のなせる業だ。下の写真は家にあった当時読んだ文庫本である。(私は中学生くらいまで、文庫本はカバーを外して読む癖があり、また気に入った本は何回も読むので汚れが激しい。)
クリスティの作品いろいろ
クリスティの作品はかなり読んだ。謎解きをする探偵役は、エルキュール・ポアロ以外にもミス・マープルやその他何人かいるのだが、私はポアロびいきで、長編で彼が出てこないと何か物足りなさを感じる。ポアロが登場する話のおもしろさは、メインとなる話の展開以外の「遊び」の部分である。ヘイスティングズ大尉とのやりとりはホームズとワトソンのパロディのようなところもあって、思わずクスっとなる場面が多い。実は、ヘイスティングズ大尉が登場する長編は6作品しかないのだが、もっと登場しているイメージがある。
たとえば「ABC殺人事件」の中の一場面。最初の殺人事件が起こり、ポアロが乗り出して捜査が始まる。話を聞きたがるヘイスティングズにポアロは話す。以下太字部分は私の手元にある本からの引用。
「犯罪は赤髪の、左眼が斜視の、中背の男によって犯された。その男は右脚が軽いびっこで、左の肩胛骨の下に痣があるーー」
「ポアロ!」私はさけんだ。
一瞬、私はすっかり本気にしてしまった。やがて友人の眼のいたずらそうな光がわからせてくれた。
「ABC殺人事件」はクリスティの長編の中でもかなり上位の評価を受けている作品だが、上に引用したような描写が読者を楽しませてくれる。今でいうメタミステリー的な要素を感じる作品でもある。
☆クリスティーについては次に続きます