ナラネコ日記

私ナラネコが訪ねた場所のことや日々の雑感、好きな本のこと、そして猫のことを書き綴っていきます。

漱石との出会い ~ 其の四

今日は読書の話題で

 今日は読書の話がテーマ。以前子供の頃の夏目漱石との出会いについて三回書いたが、その続きである。今日明日と二日続けて書いて、漱石については終わりにしようと思う。(読書の話は読んでいない人にはおもしろくない話題だと思いますが、気ままに書いているブログなので、読み流してください。)

 下の写真は、今朝の散歩のときに見た朝顔の花。つるが小屋の屋根を越えて伸び、青空に映えて美しい。

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青空に映える朝顔の花

なぜか「坑夫」

 今日の話は、7月2日の日記「漱石との出会い~其の三」の続きになる。(よろしかったら7月2日のブログを見てください)

 子供用の文学全集で「吾輩は猫である」と「坊ちゃん」「二百十日」「永日小品」「硝子戸の中」「文鳥」を読み、漱石はおもしろいというイメージが小学生の私の心に刷り込まれたのだが、次に読んだ本がなんと「坑夫」だったのだ。正確には「読みかけた」と言うべきか。理由は、たまたま家の本棚に岩波文庫の「坑夫」があったので手を出してみたのである。さすがに小学生には読みきれなかった。そしてこのために、私はしばらく漱石から遠ざかることになってしまった。

 ちなみに「坑夫」とは「鉱山や炭坑で採掘作業に従事する労働者」の意味だが、パソコンで漢字変換しても出てこない。ということは、現在では使うことが適当ではないとされている言葉なのか。

「坑夫」と漱石

 この小説は、家を飛び出したある青年が怪しげな男に誘われて鉱山で坑夫として働くことになるという話だが、漱石の作品群の中では異色の話である。

 漱石の歩みをたどると、「坑夫」に至るまでは、大学教授の余技として「吾輩は猫である」「坊ちゃん」を書き、「草枕」で美を語り、「虞美人草」でプロ作家として気合を入れて書いて、という感じで何となく分かる。また「坑夫」の後、「三四郎」から始まる前期三部作から後期三部作を経て「道草」「明暗」に至るまでの流れは、腰の据わった作家としての成熟の過程として道筋が通っている。しかし「坑夫」は「なんでここでこんな話を書いたの?」という小説である。(※このあたりの感想は、漱石をちゃんと研究・勉強しておられる方からすれば無茶苦茶だと思いますが、素人の感想なので平にご容赦を。)

 ちなみに、小学生の頃、「坑夫」を読んだ印象は、「よく分からないけれど、なんとなく気味が悪い小説」というものであった。しっかりと通読したのは、その三十年後であったが、印象は「理由は分からないけれど、どこか惹きつけられる小説」。小学生の頃から進歩していないのであった。 

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朝の散歩中に見た黒猫 お気に入りの場所らしい

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夕方の散歩中に用水路で見かけた鴨の親子