真夏の花は?
朝起きて外を歩くと今日は少し涼しい。慣れたのか、それとも今朝は少し気温が低いのか。ネットで見ると奈良の六時の気温は昨日より1度低く23度だった。真夏の熱帯夜は25度を下回らないから暑さはまだまだこれからか。
真夏の花と言うと、ヒマワリしか思い浮かばない。とりあえず、今日の散歩中に見たヒマワリの写真を一枚。ちょっとくたびれた感じでいまいちである。また今度、馬見丘陵公園に見に行こうと思う。
マルコヴァルドさんの四季
最近このブログで季節の変化のことをよく書いているが、子供の頃愛読していた本があるので、今日はその本のことを書いてみたい。
「マルコヴァルドさんの四季」というイタリアの児童文学の作品。私が読んだのは1968年に岩波書店から出たもので、安藤美紀夫さんの訳。その後2009年にも関口英子さんの訳で岩波少年文庫から出ている。あまり一般的にはなじみのない本かもしれないが、紹介しておこう。
マルコヴァルドさんとは
主人公のマルコヴァルドさんは、ズバーブ商会という会社で働く労働者であるが、いっぷう変わった人物として描かれている。以下本文からそのまま引用する。
「みんなの目をひこうとくふうをこらした、かんばんも信号機も、ネオンサインも広告のチラシも、マルコヴァルドさんの目には、まるではいりませんでした。そんなものは、砂ばくの砂みたいにしかみえないのです。ところが、黄色くなって枝にのこる一まいの枯れ葉、屋根がわらにひっかかった一まいの鳥のはね、といったものは、けっしてみのがすことはありません。」
彼は都会になじめない都会人なのだが、当時の私は山に行って昆虫を採ったり、川で小魚やカエルをつかまえたりといったことが好きな子供だったので、このマルコヴァルドさんの感じ方に、たいへん共感しながら読むことができた。
話の展開
この本は、それぞれが独立した二十の短い話から成り立ってる。題名通り、春・夏・秋・冬の順番でその季節の話が語られるので、季節が五周することになる。話の展開は、自然を愛するマルコヴァルドさんが何らかの行動を起こすのだが、最後に当てが外れてひどい目にあうというものが多い。第一話の「都会のキノコがり」では、停留所の並木の下にキノコを発見してキノコがりをするまではいいが、それが毒キノコで病院に運び込まれることになる。
都会の日常的な話が途中でシュールな世界に変化していき、そこに独特のユーモアが感じられる話も多く、この作品の世界観は小学生のころの私にとってたいへん惹きつけられるものであった。
この「マルコヴァルドさんの四季」は、海外の児童文学で日本で広く愛読されている作品とは言えないが、私にとっては出会ってよかったと思える本の一つである。